世界最古の神話が記されていたのは粘土板?!

世界最古の神話

世界最古の神話 シュメール神話



 ギルガメッシュ叙事詩            出典 WIKIMEDIA COMMONS


『神話』と言えばオリュンポスの十二神で知られる『ギリシャ神話』が一番よく知られていますかね?
その【ギリシャ神話】や【旧約聖書】、また日本の【記紀神話(古事記と日本書記の神話)】にも影響を与え
たのでは?と言われているのが、世界最古の神話【シュメール(シュメル)神話】です。
古代メソポタミア文明において紀元前4000年紀後半から世界最古の都市文明を築いた民族系統不明の
シュメール(シュメル)人。
それまでの村落社会から、灌漑農耕を発展させ現代の文明社会の起源となる数万人規模の都市国家群を作り
上げたという、世界最古だらけのすごい人たちです。
都市国家運営のために必要となったのが記録を残す『書記(役人)』。そのため『書記』を養成するための
学校があり、読み書きをはじめとしたさまざまな科目が教えられていたそうです。
その学校で記された文学作品の中で発見されたものの一つが【シュメール(シュメル)神話】です。
記すために使われていた文字が、これまた世界で最も古い文字の一つとされる『楔形文字』。
そして、記されていたものは『粘土板』です。
なぜ『パピルス(紙)』ではなく『粘土板』だったのか?


古代オリエントB.C4000年紀            出典 世界の歴史まっぷ


それはシュメールの諸都市が石材や大きな木材には乏しく、泥んこや粘土はどこにでもたくさんある地域だった
からです。
イラク南部のチグリス・ユーフラテス河の間。沼地と砂漠に囲まれた土地で湿地に生い茂る葦を筆に粘土板に
記された文学。それが世界最古の神話【シュメール(シュメル)神話】です。

|シュメール神話 


 <神話>
 ① 天地の創造、人間の誕生、文化の起源、自然・社会現象などを部族・民族などの神々や英雄にかこつけて説く 
   伝承的な説話。
 ② 根拠もなく絶対的なものだと信じ込まれ、多くの人々の考え方や行動を拘束してきた事柄。
引用元 大修館書店 明鏡国語辞典 

①がここでの『神話』になりますが、調べれば調べるほど同じテーマの神話でも色々なストーリーが出てきて頭が
ゴチャゴチャになりました(^^;
名前も一人の神さまに何通りもの名前がついていて(50以上の名前がついている神さまもいるそうです…)、関係性も
変わります。
「ん?この人とこの人は同一神さまか??」
「あれ?さっきはこの人がお父さんじゃなかった?」の連続です…。
これはほかの神話でもあるあるのようで、まず記される前段階で口承で伝わっているということ、更にシュメール
(シュメル)では都市国家が分裂していた長い歴史があることから地域によっていくつもの伝承があったと
考えられるからということです。

登場する神さま        
シュメル神名属性・特徴
アン神天空神 最高神
エンリル神大気神 神々の王
エンキ神水神 知恵の神 深淵の神
イナンナ神愛と豊饒・戦いの女神 王権の守護神・明星神
ウトゥ神太陽神 正義の神
引用元    中公新書 シュメル神話の世界~粘土板に刻まれた最古のロマン~ 著 岡田明子・小林登志子

【創世神話】


  最初に存在したのは「原初の海」ナンム女神である。ナンムを表す楔形文字は表語文字で「海」を意味し、 
 女神は「海」そのものであった。この「原初の海」が天と地をひとつに結合している宇宙的山を産んだ。
  神々は人間と同じ姿をしていて、「天」アンは男神、「地」キは女神であった。彼らの結婚が大気を司る
 エンリル神を産み、エンリルは次に天を地から分離した。天を運び去ったのは父アンであったが、エンリル自身が、
 母であるキ、すなわち地を運び去った。
引用元 中公新書 シュメル神話の世界~粘土板に刻まれた最古のロマン~ 著 岡田明子・小林登志子 

ここで登場する【エンリル神】が【シュメール(シュメル)神話】に出てくる神々の最高権力者的な存在です。
良くも悪くも登場回数がかなり多めです。
そしてここから神様がドンドン増えていき、食料を得るのも大変に。
次々仕事が増えていき神様たちから不平が出始めます。
そこで【ナンム神】が息子で知恵の神様【エンキ神】に伝えたところ、神様の代わりに働く人間をつくったそうです。
それも粘土で。
シュメール(シュメル)地方には石材や鉱物資源はなく、木材は輸入。
ただ粘土はどこにでもあったため、建物も粘土から煉瓦を作って建て、記録するのも粘土板ですから、たくさん必要な
人間も粘土でつくるのは当然と言えば当然ですが、世界最古の人間創造の原料が粘土だったというのは面白いですよね(^^

ちなみに【旧約聖書】では主なる神がアダムとイヴを土の塵からつくり、【ギリシャ神話】では人間は(神々と同じように)
自然発生的に土(大地)から生まれ、【記紀神話】で神様の子孫が天皇(人間)となっています。

【大洪水伝説】


シュメール(シュメル)はペルシア湾付近の低地で、しかもチグリス・ユーフラテスという2つの大河に挟まれた洪水の
多いところ。中心都市のウル市から発見された紀元前3000年ころの洪水層(洪水が上流から運んできた粘土の層)は
厚さが2.4メートルもあったそうです。
なにも悪いことをしていないのに度々自然からもたらされる大洪水の被害、そしてまた「無」から建て直すの繰り返しが
【大洪水伝説】の背景にあったのではと考えられているそうです。

  神々は人間を滅ばすために大洪水を送る決定をする。この決定は「アン神とエンリル神にかけて誓われた」
 ことで止めることはできない。だが、人間を滅ぼすことをイナンナ女神は嘆き、エンキ神はよく考えてみた。
  さて、物語の主人公ジウスドゥラ王がここで登場する。ジウスドゥラ王は神官でもあって、神々を恐れ敬う、
 慎み深い人間であった。ジウスドゥラは壁際でエンキから「洪水によって都市を一掃し、人間の種を滅ぼすことは
 神々の決定である」とのお告げを聞く。
  この後、ジウスドゥラはお告げに従って巨大な船をつくり、大洪水にそなえた。
 やがて、凄まじい嵐がやってきて、大洪水が起こった。
 七日と七晩の間、大洪水が国土 で暴れ、巨大な船が洪水の上を漂った後で、ウトゥ神が昇ってきて、天と地に 
 光を放った。
 ジウスドゥラは巨大な船の窓を開いた。
引用元 中公新書 シュメル神話の世界~粘土板に刻まれた最古のロマン~ 著 岡田明子・小林登志子 

この後ジウスドゥラは神々に犠牲を捧げ、アン神とエンリル神から永遠の命を与えられます。
そして人間と動物の種を救済したご褒美?に海のかなた、東方のディルムン(清らかな地)に住むことを許されます。
ここでは特になぜ人々を滅ぼすことにしたのか明確ではありませんが、後のアッカド語で書かれた
【アトラ(ム)・ハシース物語】では、『人間が増えすぎて騒々しくなったから』とされています。
ざっくりした感じですね(^^;

人気ゲームのキャラクターの名前にも使われている古代オリエント最大の英雄ギルガメシュの神話【ギルガメシュ叙事詩】
にも、ギルガメシュが不死になりたくてジルドゥラ(ウトナピシュティム)をはるばる訪ねるという話で【大洪水伝説】
が登場しています。

そして、【旧約聖書】を読んだことのない私でも知っている【ノアの箱舟】へと繋がっていきます。
こちらでは、はっきり「人間に罪がある」ので滅ぼすことになっていますね(^^;

【記紀神話】とも、有名な天照大神が隠れて国中が真っ暗になってしまう【天岩戸の神隠れ】を連想させるようなお話が
あったり、『黄泉の国』とシュメール(シュメル)神話の『冥界』の掟が似ていたり、「もしかして…?」と思うところは
ありますが、果たして影響があったのか?だとしたらどう伝わったのか?ははっきりとはわかりませんでした(^^;
ただ、【記紀神話】と【ギリシャ神話】も似ている部分があり、その【ギリシャ神話】が【シュメール(シュメル)神話】
の影響をうけていたとなると…?
これ以上はちゃんと勉強しないとダメですね(^^;
パピルス(紙)ではなく粘土板に記したからこそ、今から約5000年も前の神話が残されているのですが、粘土板はつくって
書くのはもちろん、保管も大変そうですよね。
学校にはちゃんと『図書館』があって、多数の書類や文学が保管されていたそうです。

シュメール(シュメル)人の出自は、今のところなにもわかっていないそうです。
特にシュメール(シュメル)語に関しては、登場以前のメソポタミア周辺でシュメール(シュメル)語と関連がありそうな
言語を使用した他民族が今のところ発見されていないそうです。
そして紀元前2000年ころには、西方からやってきたアモリ人が中心となり、言語もセム語に変わっていきます。
シュメール(シュメル)人は他民族と混在して、単体の民族としてはもう地上のどこにも存在しないとのこと。
どこから来たのか、どこへ去ってしまったかもわからないシュメール(シュメル)人。
今から5000年も前に『泥んこと粘土』の地で、世界最古の都市文明を築き、『分度器』や『60進法』『1年12か月』など
最初に実行したすごい人たちです。

ちなみに5000年前、日本は縄文時代中期~

縄文時代中期 火焔型土器              出典 信濃川火焔街道



日本の粘土文化?も負けてませんね!!